自己破産手続きの流れについて

代表弁護士 石川 智美 (いしかわ ともみ)

債務整理の利用を検討する場合,「自己破産の手続きはどのように進むのか?」というのはとても気になることだと思います。
ここでは,知っておくべき自己破産の基本的な流れや,弁護士に依頼するとどうなるのかなどについて,ご紹介していきます。
なお,自己破産手続きの具体的な流れは,各地方裁判所によって,少しずつ違うことがありますので,具体的には,弁護士に直接お聞きいただければと思います。

自己破産とは

自己破産とは,借金を返済することができない状態になった人が,裁判所に申し立てて,自分の財産を処分して借金の返済に充てることを条件に残りの借金を免除してもらう手続をいいます。

また,自己破産には,「同時廃止」「管財事件」という2種類の手続きがあります。

「同時廃止」は,借金の返済に充てられるような財産がほとんどなく,借金の理由にも特段問題がないような場合などに選択される手続きです。
一定程度以上(一般的には20万円以上)の財産があったり,借金の理由に問題があったりするような場合には,「管財事件」となります。

自己破産手続きの流れ

以下,自己破産手続きの流れを見ていきます。
前にご紹介した「同時廃止事件」と「破産管財事件」では,進み方が異なります。
申し立てから終了までにかかる期間は,同時廃止事件の場合は,約3か月管財事件の場合には,早くて4カ月程度(場合によっては,1年以上かかることもあります。)です。

① 破産手続開始・免責許可の申立て

破産手続開始・免責許可の申立書を作成し,地方裁判所へ提出します。弁護士にご依頼いただいた場合には,弁護士が書類を作成します。

② 破産審尋(裁判所によってはない場合もあります。)

申立てから2週間~1カ月程度すると,裁判所において,「破産審尋」が行われます。
破産審尋とは,裁判官が,破産手続開始決定を出すかどうかを決めるために,申立人と面接を行うことをいいます。特に問題のない申し立ての場合には,ごく簡単な質問で終わることがほとんどです。

③ 破産手続開始決定

破産審尋から約1週間以内に,破産手続開始決定が出ます。
このとき,「同時廃止決定」が出されると,破産手続き開始と同時に手続は終了することになります。これが,同時廃止事件です。
一方,「管財事件」になった場合には,「破産管財人」が選任されます。破産管財人は,破産者の持っている財産をお金に換えて債権者に分配するなどする人で,通常,弁護士が選任されます。
その後,破産管財人が,自己破産を申し立てた人とその代理人弁護士との面接を行います。
破産管財人は,管財業務を進めていきます。

④ 債権者集会(管財事件の場合),免責審尋(裁判所によってはない場合もあります)

同時廃止事件の場合には,同時廃止決定から約2カ月後に,「免責審尋」が行われます。裁判所において,裁判官から,自己破産に関する話があり,また,裁判官からの簡単な質問に答えます。
管財事件の場合には,約3か月後に,裁判所において,「債権者集会」が開かれます。破産を申し立てた人とその代理人弁護士も出席します。債権者が出席する場合もあります。
この集会では,破産管財人が,これまで調査してきた結果を報告します。財産の換価などに時間がかかった場合には,債権者集会が複数回になることもあります。

⑤ 免責許可決定

その後,同時廃止事件の場合には,廃止決定から約2か月間,管財事件の場合には,最後の債務者集会から,約1週間で,裁判所から「免責許可決定」が出ます。これによって,借金の支払義務が免除されることになります。

自己破産手続きで弁護士ができること

弁護士に自己破産を依頼すると,弁護士は,ご依頼者に代わって申立書を作成して裁判所へ提出し,裁判所とのやり取りもすべて代わって行います。申立人自身が裁判所へ出向く必要のある免責審尋や債権者集会にも,一緒に出席します。

弁護士にご依頼いただくことで,弁護士がきちんと調査した上で申し立てを行いますので,手続きにかかる期間も短くなることがほとんどです。

自己破産は弁護士にご相談ください

このように,自己破産には数カ月間の期間がかかるものですし,一般の方には馴染みのない手続きもあります。

この記事では申立てた後の流れについてご説明しましたが,そもそも,申立てに至るまでの準備も容易ではありません。

弁護士にご依頼いただくことで,適切なサポートやアドバイスのもと,安心して手続きを進めていただくことができます。
ですから,自己破産を検討されている場合には,ぜひ弁護士にご相談ください。