過払い金返還請求は弁護士を通して行うべき理由

代表弁護士 石川 智美 (いしかわ ともみ)

過払い金返還請求は,必ずしも専門家に依頼しなければならないというわけではありません。しかし,弁護士を通して行うことには,多くのメリットがあります。

この記事では,過払い金について弁護士に相談するかどうか,また,どの専門家に相談すべきかなどを悩まれている方に向けて,過払い金返還請求を弁護士に依頼した方がよいといえる理由をご紹介していきます。

すべて任せることができる

過払い金を請求するためには,まず,貸金業者から取引履歴を取り寄せ,利息制限法に基づいた引き直し計算を行う必要があります。

すべての取引履歴をきちんと取り寄せ,誤りのない計算を行うことは,一般の方にとっては,それほど簡単なことではありませんし,手間も大きいです。
また,このようにして過払い金の額を確定させたうえで,貸金業者に対して請求,交渉を行わなければなりません。

相手はプロですので,交渉は精神的な負担も伴います。

そして,スムーズに返還してもらえない場合には,訴訟を提起しなければならないケースもありますが,専門家のサポートなしに訴訟を進めるのはさらに大変です。
弁護士にご依頼いただくことで,これらすべてを,弁護士がご依頼者の代わりに行いますので,物理的にも精神的にも負担が大きく軽減されることになります。

自分の権利を守るための適切な主張立証ができる

過払い金を請求すると,様々な点で,相手方となる貸金業者と争いになる場合があります。

例えば,取引の途中で完済したことがある場合に,すべての取引を「一連」のものとみるのか,それとも別々のものとみる(「分断」といいます。)のかについての争いです。過払い金の金額は,一連とみるか分断とみるかによって,大きく変わってくることがあります。また,過払い金返還請求権は,通常,完済時から10年間で時効によって消滅しますが,一連か分断かによって,消滅時効の起算点が変わってきます。

このように,過払い金を最大限取り戻すためには,それぞれの争点について,きちんとした主張・立証を行うことが必要となるのです。
しかし,そのためには,複雑な考え方や判断が必要となることが多いですから,専門家である弁護士にご依頼いただくことが得策であるといえます。

弁護士が交渉をした方が返還される過払い金が増額する可能性が高まる

過払い金の返還請求は,まずは,債権者との任意の交渉によって行うことになります。しかし,貸金業者は,一般の個人の方から請求する場合には,様々な理由をつけて,低い金額を提示したり支払い期日を先延ばしにしたりすることがあるのです。一方,専門家であり交渉術も持つ弁護士が交渉相手となる場合には,きちんと対応される可能性が高くなります。

弁護士に依頼すると取立てが止まる

まだ返済中の貸金業者を相手にする場合,弁護士にご依頼いただければ,弁護士から貸金業者に対して受任通知(過払い金返還請求を弁護士が受任した旨を記載した書面)を送ることで,取立てが止まります。

債務整理の相談もできる

過払い金を取り戻しても他の借金が残るなどして,借金問題が残るケースもあります。このような場合には,任意整理や個人再生,自己破産などの手続きなどの債務整理を行う必要があるかもしれません。

弁護士にご依頼いただければ,過払い金返還請求だけにとどまらず,借金を整理して生活を再建することまでトータルでサポートを受けることができます。

司法書士と弁護士の違いとは

過払い金請求は司法書士に依頼できる場合もあります。司法書士と弁護士に違いはどこにあるのでしょうか。

実は,司法書士の業務範囲には,制限があります。司法書士は,請求金額が140万円以下の場合でなければ,代理人になったりすることができないのです。
弁護士については,このような制限は一切ありません。金額がどれほど大きくなっても対応できますので,安心してご依頼いただくことができます。

また,司法書士は,個人再生や自己破産の申し立てについての代理人になることもできませんので,これらの手続きが必要となった場合には,弁護士に改めて依頼しなければならなくなるおそれがあります。

過払い金返還請求は弁護士にご相談ください

以上のように,過払い金返還請求を弁護士にご相談・ご依頼いただくことには,多くのメリットがあります。

ご自身で大変な思いをして手続きを進めても,ミスをしてしまったり,債権者との交渉がスムーズにいかなかったりして,結局過払い金を取り戻すことができないなどというはめになるおそれもあります。

弁護士にご依頼いただければ,すべてを弁護士がご依頼者の代わりに行い,豊富な専門的知識によって,ご依頼者の利益を最大限に確保するよう尽力します。
思わぬ損をしてしまわないためにも,過払い金についてお悩みの場合には,できるだけお早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。