過払い金返還請求の手続きと返還までの流れについて

代表弁護士 石川 智美 (いしかわ ともみ)

過払い金を返してもらうためには,何をどのように進めればよいのでしょうか?
過払い金返還請求は,交渉による場合と訴訟による場合があります。
この記事では,それぞれの場合の,過払い金返還までの流れをご紹介していきます。

訴訟によらない場合

法律相談,受任

まずは,借り入れの状況などについてのご事情を伺い,過払い金返還請求ができる可能性がある場合には,その旨ご説明いたします。そのうえで,ご依頼をいただくかをお決めいただきます。

受任通知の発送

ご依頼を受けると,弁護士は,過払い金の返還請求手続を受任したということを記載した通知書(「受任通知」と呼ばれます。)を,債権者に対して発送します。
また,受任通知の中で,取引履歴の開示も求めます。

借金の返済が残っている方の場合には,受任通知によって,債権者からの取立ては止まります。返済も一旦ストップします。

引き直し計算

受任通知を発送後,しばらくすると,金融業者から,取引履歴が開示されます。これをもとに,利息制限法の法定金利に引き直し計算を行います。これによって,どれくらい借金が減るのか,どのくらいの過払い金が発生しているのかを確認することができます。

なお,引き直し計算後も債務が残る場合には,債務整理の手続きが必要となる場合もあります。どのようにして借金を整理していくのが適切かは,弁護士からアドバイスをさせていただきます。

過払い金返還請求

過払い金の存在が明らかになった場合には,その業者に対して,過払い金の返還を請求する旨伝えます。ここで,債権者から和解案の提示があれば,和解交渉に入ります。返還される過払い金の額や支払い時期などについて双方が納得できれば,交渉成立となります。

折り合いがつかない場合には,訴訟を提起することになります。

合意成立,過払い金の返還

交渉がまとまれば,合意書などを取り交わします。債権者が合意書通りに過払い金を返還することを確認します。
合意通りに返還されなければ,別途訴訟の提起が必要となる場合もあります。

訴訟で請求する場合

交渉によって納得のいく過払い金が返還されない場合には,訴訟を提起することもあります。なお,訴訟になれば必ず返還される金額が増額するとは限らないという点には注意が必要です。

訴状の提出

まずは,裁判所に対し,証拠を付けて,訴状を提出します。裁判所に提出する書面は,弁護士がご依頼者に代わって作成します。

第1回口頭弁論期日

提出された訴状は,裁判所から,被告である貸金業者へ送られます。

訴状の提出から1カ月~1カ月半ほどで,裁判所において,第1回口頭弁論期日が開かれます。

なお,弁護士にご依頼いただいた場合は,期日にご依頼者ご本人が出席する必要はありません。弁護士が代わりに出席します。
弁護士に依頼しない場合には,自分で出席することになりますが,裁判の期日は,平日の昼間にありますので,ご負担になるケースも多いと思います。

第2回以降の期日

その後,1カ月に1回程度の間隔で,期日が開かれます。その中で,原告・被告が,それぞれ主張と反論を行っていきます。主張や反論は,通常,「準備書面」という書面の中で行います。

大きな争点がある場合には,期日を何度も重ねる必要が出てくることもあります。その場合には,裁判が長期化し,1年以上かかるようなこともあります。

和解or判決

多くの場合は,裁判の途中で,原告あるいは被告から和解案が出されます。

合意がまとまれば,判決ではなく和解(訴訟上の和解,または,訴外での和解)で訴訟が終了することもあります。
もし,裁判の中でも話し合いがまとまらない場合には,最終的には,裁判所が判決を出します。

過払い金の返還

和解や判決の内容の通りに過払い金が返還されることを確認します。
もし,返還がされない場合には,強制執行による回収が必要となることもあります。

過払い金請求は弁護士にご相談ください

このように,過払い金返還請求は,貸金業者との交渉や訴訟によって行います。
専門家ではない一般の方にとって,訴訟を見据えた適切な交渉を進めて有利にまとめることは非常に困難です。また,訴訟になれば,様々な争点について,法律や判例に沿った主張を書面にしなければなりません。

専門家に依頼することなく過払い金請求を行うためには,大変な手間や準備が必要となるのです。

弁護士にご依頼いただければ,過払い金の計算や貸金業者との交渉,そして訴訟まで,トータルでサポートさせていただきます。また,過払い金があってもその他の借金が残るような場合には,任意整理など,適切な債務整理の手続きをご提案させいていただきますので,借金のお悩みをまとめて解決することが可能となります。
ですから,過払い金の請求をご検討の場合は,ぜひ弁護士にご相談ください。